入札制度の改革がもたらしたもの

 入札制度の改革については、成功したと思います。この結果については、『ダンピングであり、地元業者が泣いている』との批判が同じ議員から出されました。

たしかに、毎年、同じ値段で、同じ業者が仕事をとり、何十年も既得権益を享受している業者の方にとっては、私が執拗に拘った入札制度の改革は、地元業者いじめの改悪といえるかもしれません。

しかし、本来、入札は自由な競争の下、1円でも安く落とした業者が仕事を請け負う、それが行政の鉄則です。このことは最小経費で最大効果をうたっている法の趣旨から当然です。

そのことを実行するために、法は原則として一般競争入札を大原則として、それができない例外的な場合に限り、指名競争入札を認めています。さらに例外的に随意契約が認められています。

ここで、一般競争入札指名競争入札の違いについてお話をします。一般競争入札とは、法の認める原則であり、全ての人が入札に参加することができる入札を言います。

この入札の特徴として、多くの人が参加することができること、談合がやりにくい事、その結果、落札価格が安くなることがあげられます。

これに対して、指名競争入札とは役所の方で入札に参加する業者を選定し、その業者により入札を行うことを言います。この入札の特徴としては、業者が限定されていて、談合が行いやすいこと、役所と業者の間に癒着が生じやすいこと、その結果、落札率が高くなり、税金が余計にかかること、が特徴です。

言うまでもなく、役所が発注する仕事は市民の皆様から預かった税金により、行われています。年金暮らしの方からも、また年収200万円の方からも税金を預かり、その税金で事業が行われています。それゆえ、法は、行政の仕事は1円でも安く、そして効果的に行うように一般競争入札が大原則とされています。

では、実際はどうでしょうか。ほとんどが改革前は指名競争入札が原則で1億円を超える契約についてのみ、制限つき一般競争入札が行われていました。

これでは、市民の皆様から預かった税金が本来必要なところに行き届きません。これにメスを入れたのが入札制度の改革です。

入札制度の機能不全により、税金が無駄に使われるだけではありません。ほとんどの不正は入札に絡んで行われます。

談合問題もそうです。議員の口きき、贈収賄、そのほとんどが、この入札問題に絡んでのことです。

そして行政の仕事のほとんどが、契約により、外部の業者に発注(入札)することで、行われていることを考えると、その額は莫大です。東松山市で言えば今はだいぶ少なくなりましたが建設事業費、さらに清掃管理費等の委託管理費が、それにあたります。その額は80億円ぐらいです。ここにメスを入れることが何よりも税金の無駄をなくす、第一歩です。

今回の選挙で議員の数を半分にするという候補がいましたが、そんなことは絶対にできません。ただ、2名から4名減らすぐらいなら可能かもしれません。

たとえ10名減らしたとしても、7000万円減額できるにすぎません。そして10名というのは、とても無理です。それならば市民病院の清掃管理業務を1億5千万円から8千万円にする方がどれだけ現実的か。実際に委託管理業務の値段が半額近い値段になりました。まずは、そこからだと思います。それをもってダンピングというなら、公正な値段がいったいいくらなのか、非常に困難な問題にぶち当たります。

そして、そもそも法が予定している最小経費で最大効果を生むための入札制度自体、やる意味がなくなります。税金で事業が行われており、その税金は年金生活者や200万円以下の年収の方からも、いただいている、そのことを絶対に忘れてはいけないと思います。

私は議員時代、このことを徹底的に追及し、公の場で、正々堂々と市長と渡り合い、やってまいりました。年間80億円にのぼることが小さなことでしょうか。私は重箱の隅をつっついてばかりいる、人の批判ばかりしているという批判を常に受けてまいりました。

批判しなければ現状を永遠に保守することしかできません。正当な批判なくして、世の中は前に進みません。そして私の場合、必ず事細かく、改善策を提案してきました。情報公開条例についても、私の質問は非常に細かく、具体的にしています。入札制度についても、そうです。

情報公開条例の改正のときは、私が何度もした一般質問の議事録を全て職員がコピーして持っており、『鈴木議員の言うとおりやりました』と職員に言われました。しかし私は、それでも『そこは違う』といい、『もっと完璧にしてほしい』と提案しました。その甲斐あってか、情報公開ランキングでは東松山市が県内でトップの評価を受けました。そのときには、職員をほめました。

入札制度の改革についても、事件発覚後、検討委員会が立ち上がり、私の一般質問どおりになったと思います。チーフの職員から、『今回は、是非、鈴木さんの知恵をお借りしたい』といわれました。私は『そんな力はないですよ。皆さんを信頼していますから』といい、そして1000万円以上の契約について一般競争入札の導入、予定価格の事前公表の禁止、指名競争入札が行われる場合でも業者の数を増やすこと等、改革が行われました。

検討委員会には竹森氏もいましたが、議会で私の質問の時には『高止まりの定義自体不明で、高止まりなどない』と答弁していたにも関わらず、検討委員会で問題視されたのは言うまでもなく『落札率の高止まり』についてでした。弁護士や、公認会計士の前で、何にも発言もできず、下を向いていた彼の姿は、今でも忘れません。彼が公開討論会のときに、入札制度を改革しましたと言ったときには、その場で指摘しましたが、議会で私の質問に何度も『高止まりは存在しない』と言っていたのは竹森氏本人であったことを、あの場所で指摘しました。

彼については職員時代の副業が表ざたになり、急失速しましたが、多くの市民が本当にだまされたことには残念でなりません。選挙ビラに、市民病院の先生を当初は10人連れてきたと書き、その後、確保したと訂正、一部の人には謝罪しています。しかし、あの宣伝広告により多くの人がだまされており、その効果は取り消せません。