情報公開ランキングで東松山市がトップ。読売新聞埼玉版。


光栄なことだ。一期目の公約で情報公開の徹底をあげた。当選して、すぐの6月議会で情報公開条例の改正が議案として提出された。私は、新人だったが、その議案を見て、これはおかしいと思った。

 しかし、前の条例よりも前進するものであり、それに反対することは情報公開を進めることに反対の立場だと思われるといわれ、とりあえず賛成し、その後、改正を求めることにした。

 6月議会で成立後、改正を求めて、一般質問を繰り返した。しかし、改正したばかりであり、また新人の議員がいくら理論をつめて言っても通らない。当たり前だ。

 私の主張はこうだ。『情報公開の請求権者が市民に限定されている。広く何人でも請求できるようにするべきだ』このことを主眼として、何点か、改正を求めた。

 執行部の説明はこうだ。『情報公開は市民のためのものであり、もし裁判が訴えられたら市民の税金で行われる。情報公開請求権者は市民に限られるべきだ。』このような、説明だ。馬鹿を言ってはいけない。市外に住んでいる人が情報公開することで、市民の利益になることがたくさんある。たとえば、新聞記者が情報公開したり、浦和の市民オンブズマンが請求したり、これから東松山市に移り住もうとする人が請求したり、そのような人が請求することで、市民に情報がもたらされることもある。

 他市の状況を調べ、しつこく質問を繰り返した。先進的な地域は皆、『何人も』請求することができるようになっていた。また、あたらしく、作ったところは、ほぼ100%、『何人も』である。

 せっかく改正するのに、市民に限定するとは何事か。そんなやり取りが続いた。もう一つ、私がこだわったのは『知る権利』である。東松山市の条例の中には『知る権利』が明記されていた。これは望ましいことのように一見思われる。

 しかし、『知る権利』なる権利は、憲法上も、情報公開法上もどこにも書かれていないのである。憲法上、『知る権利』が認められるか否かは争われている。講学上は認める説が多いようだ。しかし、最高裁は認めていない。微妙な言い回しだ。『知る権利』を尊重するとは言っているようだ。なぜか。『知る権利』を根拠として、裁判を行うほど、明確な意味内容を有する権利だからではないからである。非常に微妙、巧妙な言い回しだ。

 その最高裁判例を受けて情報公開条例がつくられた。その中でも、『知る権利』を明記することは避けられた。最後まで検討されたようだが、議論の末、はずされたようだ。

 しかし、条例レベルでは、結構、『知る権利』を明記している例がある。これは疑問である。『知る権利』については、最高裁の言い分が正しい。今後、判例変更はありうるが。

 東松山市の条例は結構笑えた。『知る権利』を明記しつつ、請求権者を市民に限定していた。このような例はめったになかった。理論的にも、ちょっとおかしい。『知る権利』についても良くわからず、情報公開についても良くわからず、流行で条例をつくり、何も考えずに『知る権利』を明記したものと思われる。

 『知る権利』があるなら、その権利を根拠に憲法訴訟でも起こせるのか。何度も繰り返しているうちに、総務部長か、課長か、忘れたが、鈴木議員の言うとおりだ、と言った。だったら改正すべきだ。認めてからも、時間がかかった。

 しかし、タイミングよく、埼玉新聞か何かで、情報公開ランキングが発表された。下から数えて数番目であった。私の質問にも勢いがました。これは説得力がある。そのときの一般質問を是非、見ていただきたい。

 その後、『何人も』請求できるように改正された。職員には感謝する。しかし、北本市に遅れをとった。私が言った時点で、改正していれば先進的だった。ただ、『知る権利』の明記については、最後まで職員と争った。私は、恥ずかしいから書かないでおけ、と言った。しかし、職員はこだわって入れた。おそらく『知る権利』の明記が、公開ランキングの加点ポイントだからであろう。

 『知る権利』の明記を加点ポイントにしているランキング会社は、もう少し勉強したほうがよい。しかし、とにかくトップということで、総務部の連中も機嫌が良いと思う。良く頑張ったと思う。特に法案作成に携わった職員はうれしかったであろう。私も誇りに思っている。後は、運用で公開を促進する取り組みが必要である。とにかく、公開決定が遅い。それと、これは議論になったが、対象範囲の拡大、特に補助金が一円でも入っている団体については、公開請求を認めるべきだ。社会福祉協議会のことを言っている。

 多額の市民の税金が入っているのに、別の団体とのことで、請求しづらい。また、弁護士が公開に馴染まないと言っているから、公開はできない。そんなことはありえない。リーマン問題についていっている。私は、3月議会、6月議会と連続して同じ一般質問をしている。社会福祉協議会では、市長に損害賠償請求しないことを決めたが、その根拠となったのは弁護士の意見書である。その意見書は、当然市民に、公開されるべきである。どんな理由なのか、因果関係がなぜないのか。前述のように、弁護士が公開に馴染まないといっているから、公開できませんでは、納得がいかない。

 これでも埼玉県でトップだ。ま、そんなもんでしょう。つくる時、とにかく『日本一の公開条例を作ってほしい』といった。情報公開は、市民が闘争の末、勝ち取ったものである。そこには歴史がある。

 行政が情報を集め、管理する。都合の良いように自分たちで使う。そうならないために、情報公開がある。集めるのも、管理するのも市民国民の税金である。みんなが同じように情報にアクセスできるのが原則である。当然、個人情報の保護、国防上の秘密等例外はある。

 市民の皆さんには、是非、年に一度、市に足を運んで情報公開請求をしていただきたい。そうするだけで、市が変わると思う。政治的な意思決定するには、まず情報を正しく把握することが必要だ。

 議員の政務調査費、職員の旅費、事務費について公開請求を是非、がんがんやっていただきたい。それだけでも市は変わると思う。