視察報告

1月23日、24日、25日と会派 平成維新の会で視察に行かせていただいた。視察地は大阪和泉市池田市守口市へと先進地視察を行った。かなり遅れましたが報告いたします。

一 和泉市 市立病院視察

 和泉市では市民病院を視察した。視察地選定理由としては、和泉市の市長と3年前に全国の地域医療を考える研究会でご一緒させていただいたことが切っ掛けで、その時の取り組みについて聞いたことを、実際どのように実行しているのか、視察させていただくために訪問することを決定した。
 訪問するにあたって、質問内容を事前に提出することを求められた。質問内容は、1市長の市民病院再建への取り組み、2市長の経営への関与、3具体的な成果、4地域連携の必要性、困難な点、5医師派遣要請について、その相手先、頻度、交渉条件、6薬剤の購入について、その契約の仕方、単価の公表の有無、7 IT化の推進について、その効果、8患者数の増加策について、何か特別におこなっているのか、9医師の定着率、看護師の定着率を高める取り組みについて、10院内の経営会議についての10項目について詳細に質問をさせていただいた。
 市長の経営への参加については、経営会議にも市長が参加しているとのことであった。また、大阪府立病院等に頻繁に医師確保のために自ら訪問しているということであった。
様々な経営の改革にも関わらず、財政状況については改善しているとは言えないようである。薬剤の購入については、当市でも単価の公表はしていないが、和泉市でも契約単価は公表していないということであった。IT化の推進については約6億円かけてオーダリングと電子カルテを同時に導入するということであった。当市でも3億7千万円かけて導入するが、オーダリングシステムと電子カルテを別々に導入するということで、非効率的であるとの指摘を受けた。患者数の増加策については、5時15分から7時までの夜間診療の開始、ミニ健康診断の開始、患者送迎バスの運行を行っているとのことであった。医師の確保、看護師の定着率を高めるために病院内保育所を運営しているとのことである。地域医療連携についても地域医療連携室を設け、積極的に精密検査の患者を受け入れているとのことであった。
 質問の後、事務職員と看護婦長に院内を案内していただいた。特に緩和ケア病棟については非常に参考になった。

二 池田市 小中一貫教育推進事業 学校の危機管理について

1 池田市 小中一貫教育推進事業について

池田市では、第6次池田市総合計画に基づき確かな学力、豊かな心、健やかな体のバランスのとれた子どもを育成するという基本的な考え方のもと、これまでに教育の街池田特区をはじめ、様々な取り組みをおこなっている。その中でも、小中一貫学校の取り組みについては、20年度より池田市教育課題研究委託事業として小中一貫教育研究モデル校区の指定を行い、研究を続けている。それぞれの中学校区においては、児童生徒の課題の共有、目指す子ども像の創造、9年間を見通したカリキュラム作成、学習指導の共有、教員合同研修会開催、先進校視察などの取り組み、研究を進めている。
 もともと、教育の池田というだけあって、教育に対する市の取り組みについては、熱意を感じた。同じ市に大阪教育大学付属池田小学校があり、小中一貫校への市民の理解は、得られやすいのであろう。東松山市も白山中学校、桜山小学校が少子化小規模化していく中で、小中一貫校の研究も必要になると思われる。そのようなことを話したところ、あくまでも子どもが少なくなったからではなく、積極的に小中一貫校の良さに着目しての取り組みであることを協調していたことが印象的であった。

2 学校の危機管理について

平成13年に大阪教育大学付属池田小学校で児童殺傷事件が起こったことは記憶に新しい。隣の小学校で起きた大惨事に、市でどのような取り組みをしてきたのであろうか。そんな疑問もあり、視察内容として選定した。
 私は、事件直後、大阪教育大学付属池田小学校を視察させていただいた。二度とこのような惨事がおきないように監視カメラの設置等、様々な取り組みが行われていた。帰ってすぐ、その内容を一般質問し、新設の神明小学校に監視カメラの導入、マニュアルの見直しの提言をしたことを記憶している。それから10年以上たち、隣の公立小学校を視察した。また、この10年間でIT機器も進化し、いろいろな面で危機管理体制も進化しているものと思われる。
 池田小学校では特に、ICタグを活用した登下校メール配信システムの導入が先進的な取り組みとしてあげられる。この事業は、校門への防犯カメラの設置と希望児童にICタグを無償貸与し、登下校時の確認を行うシステムである。試験的に2校に導入しているとのことだが、児童が通学時に使用しているランドセルにICタグを付けておき、児童が登下校時に校門を通過する際、校門に設置したアンテナがICタグの番号を感知し、職員室に設置したパソコンへ送信され、児童の登下校が確認できる。また、職員室のパソコンで児童の登下校の情報や画像が確認できるとともに、希望者には自動的に保護者の携帯電話へ登下校の校門通過時間を送信することができるというものである。

三 守口市  市有財産の有効活用(未利用地活用事業) 小中学校のICT環境整備事業

1 市有財産の有効活用(未利用地活用事業)について

 当市でも駅前開発に失敗し、駅前一等地を駐車場として利用するという苦肉の策を強いられている。守口市では、土地開発公社が所有する未利用地について、未利用地活用検討委員会を設置して、その活用について検討されている。メンバーは都市開発、不動産鑑定コンサルタント、学者、弁護士、公認会計士で構成されている。平成17年度公社保有のうち2件について、国の支援策により可能となった定期借地制度による活用プランの検討を開始。この2件の土地は、当初は社会教育関係施設の建設を予定していたが、財政状況の悪化のため、当初目的を断念したものである。また、もう1件は旧国有鉄道が分割・民営化を機に資産売却を進めた際に、周辺の土地と一体的に土地開発公社が買収、その後公園、保険センターの整備を進め、当該部分については社会教育関係施設の建設を想定していたが、その後活用を断念した土地である。
 国の支援が、市の土地公社から買い取る費用につき、市が差損については一般会計から損失補てんしていたものを、一定条件の下、市の買い取り資金についても起債が可能となったことにより、事業が可能となった。
 事業手法ついては、公募により、民間企業から活用の提案を求め、優先交渉権者決定、貸し付ける。土地貸付条件は、住居を主とする建物で、住居部分は分譲、賃貸いずれも可。一般定期借地権によること。公募の結果、地元密着企業二社による共同事業で、都市拠点のシンボルタワーとなるランドタワーの建設。事業主体企業がテナントとして入居。住居96戸。店舗、クリニック、託児所も入居。
 東松山市でも駅前の開発が失敗に終わり、現在駐車場として利用しているが、その収益性は土地のポテンシャルに対して著しく低い。土地を低価格で貸したり、定期借地権などを利用し、土地が有効に利用され、周辺土地の資産価値が上がるような利用の仕方を考えて行くべきだと思った。

2 小中学校のITC環境整備事業

守口市は、平成22年度より総務省『地域雇用創造ICT絆プロジェクト(教育情報化事業)』を活用して、三郷小学校、橋波小学校において、4年から6年生の全児童と担任に一人1台のタブレットパソコン・無線LAN環境を整備し、教育においてのタブレットパソコンの有用性と効果研究している。子どもたちは低学年から、ノートパソコンや、タブレット端末に慣れ親しんでいる。そのノートパソコンを常に授業に取り入れ、日常の授業が行われている。実際に、各教室を校長先生の案内で見学させていただいた。校長先生も民間校長である。数学や、美術、社会の授業を見せていただいた。その中で、それぞれパソコンを上手く授業に取り入れている。そのための教師同士の研究も常日頃から行っているとのことだ。また、一方方向ではなく、生徒もパソコンを使用して、プレゼンテーションを行っていた。画像や、パワーポイントを上手く利用し、上手に自分の意見を発表していたことには驚かされた。東松山の小学校でもパソコン教室を使い、パソコンの授業を行っているが、その時間は中学生でも週に1時間に達していない。小学生はさらに短い。また、守口市の小学校は電子黒板が各クラスに設置されている。東松山市では、学校に1台導入しているにすぎない。この差は、同じ公立の学校であるにも関わらず、これほど違うとは。この違いが将来、大きく子どもの将来に影響を与えることを考えると、東松山市の教育ももう少し考えなくてはならないと思う。