一般質問二日目。入札制度について

 一般質問の二日目である。入札制度について、質問した議員さんがいた。4月から、入札制度は大きく変わった。1000万円以上の公共事業については制限つき一般競争を導入し、予定価格も事前公表から事後公表に変えるものである。

 これにより、大きな影響が出た。これまで、落札額を入札予定価格で割った落札率は軒並み95%を超えていた。中には100%とというありえない数字のものもあった。このことが切っ掛けで、県警が捜査に入り、偽計業務妨害で逮捕者を出した。そのことを切っ掛けに入札制度改善委員会が立ち上げられ、今年の4月から新制度が開始された。

 これは以前から私が主張していたことだった。1000万円以上は一般競争入札を行い、予定価格も事後公表にする。これだけで、談合はかなり防げる。それによって落札率が10%下がるだけでも8億円ぐらいは市民に還元することができる。これは控えめに言ってるだけだが、実際には落札率はもっと下がるはずである。

 思ったとおり、その効果はてきめんである。高坂小学校の改築工事は12億円の予定が8億円に下がった。4月から8月末までに全体で6億6千万円の差益金が生じたという。これだけのお金が市民に還元されることになる。

 これに対してダンピングではないか、という批判がある。たしかに、そのような事案もなくはないであろう。しかしながら、企業努力によって、新規参入した業者に対して、既得権者が新規参入者に対してダンピング呼ばわりするのはいかがなものか。

 今まで、決まった業者しか、入札に参加することができなかったこと自体が問題である。また、予定価格は、役所が見積もるべきものだが、その予定価格を業者の言いなりで設定していたことが明るみに出た。予定価格自体が怪しいものであった。
 
 改革では、市でしっかりと見積もりをすることも上げられた。しかしながら、市の見積もりには限界がある。見積もりは価格本を基本に見積もるが、その価格本自体、民間の実勢価格とはかなりの開きがあるからだ。それゆえ、市は業者に、入札によって、『おたくは、いくらでやっていただけますか』と聞いているにすぎない。したがって、予定価格は上限を示すに過ぎないのである。

 鉄骨一本にしても、業者によって見積もり額は異なる。仕入れ時期、ルート、在庫量によって、値段は異なるはずである。企業努力によって、かなりの開きが生じる。過度の競争は下請けの人件費の削減につながるとの懸念がある。下請けの人件費を削減することは、労働基準法や、建設業法により規制がかかる。なぜ、建設業会だけが、安かろう、悪かろうと言われるのであろうか。より安く、より良いものを提供すること以外に、世間一般では生き残れないはずである。業界全体の体質改善も必要なのではないか。建設業界も民間発注の場合、その基本原理が働いているはずである。そうでないと生き残れない。民間発注と、行政発注では二重の価格基準がある。また、市内では高く請け負い、市外では安く請け負う。結局、馬鹿を見るのは、市民である。

 安くやったら、『ダンピングだ』と決め付ける前に、新規参入業者の企業努力も認めるべきだ。本当に、悪いものを造るかどうかは、しっかり現場を監督することで防ぐしかない。そのことは、これまでと同じであろう。地元業者育成という建前で、新規業者を拒む。これでは、本当の意味での業者の育成にはならない。

 一般に民間業者が談合し、民間業者は政治資金を通じて政治家に働きかける。政治家は役人に働きかける。これを鉄のトライアングルというが、東松山市はどうか?落札率の高止まりが意味するものは。95%を超える落札率は、通常の競争が働けば、まず、ありえない。それが連発していたのが、東松山市の入札制度であった。残念ながら、このことは東松山市だけではない。日本全国似たり、よったりだ。ニュースで毎度お騒がせの談合事件、表に出るのは氷山の一角にすぎない。

 私は、この入札制度の改革を公約に一般質問を繰り返してきた。たまたま、東京新聞が記事に書いてくれたことが切っ掛けで、県警が踏み込んできた。私の言うとおり、もっと早く改革をすべきであった。最後の最後まで、市長は『高止まりの定義がわからない。現状では高止まりはない』といっていた。
 
 血を流さずして本当の改革はできないが、無駄な血と血税を流してしまった。この責任は大きい。